むかし、日向・椎葉の村に与助という若者がいた。 「働かなくても贅沢をして暮らせるだけの銭や物がほしい…」 ヒエやアワ、豆などしか出来ない貧しい村での仕事を放り出し山に逃げ込んだ与平は、ある晩に異様な光景を目撃する。 杉の大木にしがみついた青鬼の背中が割れ、脱皮を始めてみるみるうちに赤鬼になったのだ。与助はその抜け殻を盗んで着こみ、村で悪事を重ねるようになる。 ところが、抜け殻を脱ごうとすると、どうしようにも脱げなくなり…。 生活の基本は、誠実と連帯にあるもの。 自分に課せられた仕事を誠実に果たす生き方が、今日ほど問われている時代はありません。 「鬼がら」は人の痛みを自分の痛みとして知るやさしさを持った子供たちが育ってほしい、との願いを込めて作られた創作民話です。
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